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神戸地方裁判所 昭和59年(わ)186号 判決

本店所在地

兵庫県西宮市上鳴尾町一三番一六号

法人の名称

村井建設工業株式会社

代表者の住居

兵庫県西宮市上鳴尾町一三番一八号

代表者の氏名

村井光夫

本籍

兵庫県西宮市上鳴尾町一四一番地

住居

兵庫県西宮市上鳴尾町一三番一八号

会社役員

村井光夫

大正九年五月二〇日生

右村井建設工業株式会社及び村井光夫に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官宮崎昭出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人村井建設工業株式会社を罰金二、五〇〇万円に、被告人村井光夫を懲役一年に処する。

被告人村井光夫に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人村井建設工業株式会社は、兵庫県西宮市上鳴尾町一三番一六号に本店を置き、土木建築工事請負業を営むもの、被告人村井光夫は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人村井は被告法人の業務に関し法人税を免れようと企て

第一  昭和五五年二月一日から同五六年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億四、四八九万〇〇九二円で、これに対する法人税額が五、六六四万〇一〇〇円であるのに、架空の外注費、労務費等を計上するなどの不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五六年三月三一日、同市江上町三番三五号所在の所轄西宮税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三、〇七四万二、三二四円で、これに対する法人税額が一、〇九九万一、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税四、五六四万八、八〇〇円を免れ

第二  同五六年二月一日から同五七年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億一、二八〇万八、七六四円で、これに対する法人税額が四、五九七万三、五〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五七年三月三一日、前記西宮税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が九一七万五、八六九円で、これに対する法人税額が二四四万七、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税四、三五二万五、九〇〇円を免れ

第三  同五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億一、一八九万八、二〇〇円で、これに対する法人税額が四、五六七万六、四〇〇円であるのに、前同様の不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、同五八年三月三一日、前記西宮税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が二二六万〇、二〇八円で、これに対する法人税額はない旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税四、五六七万六、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の目標)

判示全事実につき

一  村井信広の検察官に対する供述調書

一  村井信広(一〇通)、村井光広(四通)、村井広夫(四通)、好村功、竹内好美、北森忠男、岡勝美及び石川文子の大蔵事務官に対する各供述調書

一  村井信弘(二通)及び村上順次郎各作成の各確認書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(昭和五八年一〇月二五日付、同月三〇日付、同年一一月二八日付、同年一二月二日付、同月二六日付二通、同五九年一月六日付、同月一二日付、同月一七日付及び同月二五日付―二通。いずれも安河内孚彦作成分―の計一一通)及び現金預金有価証券等現在高確認書

一  登記官作成の登記簿謄本

一  被告人村井光夫の当公判廷における供述

一  被告人村井光夫の検察官及び大蔵事務官(昭和五八年九月二二付、同年一一月二二日付、同年一二月一六日付、同五九年一月九日付及び同年二月一七日付の計五通)に対する各供述調書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(証拠等関係カード番号3)及び法人税確定申告書謄本(同番号6)

一  大蔵事務官泉稔作成の昭和五九年一月二五日付査察官調査書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同番号4)及び法人税確定申告書謄本(同番号7)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同番号5)及び法人税確定申告書謄本(同番号8)

(法令の適用)

被告法人村井建設工業株式会社につき

一  判示所為

法人税法附則二条、一九条により、第一につき昭和五六年法律五四号による改正前の法人税法一五九条、一六四条一項、第二及び第三につきそれぞれ右改正後の法人税法一五九条、一六四条一項

一  併合罪加重

刑法四五条前段、四八条二項

一  訴訟費用負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

被告人村井光夫につき

一  判示所為

法人税法二条、一九条により、第一につき昭和五六年法律五四号による改正前の法人税法一五九条一項、第二及び第三につきそれぞれ右改正後の法人税法一五九条一項

一  刑種選択

所定刑中いずれも懲役刑選択

一  併合罪加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情最も重い第三の罪の刑に加重)

一  執行猶予

刑法二五条一項

一  訴訟費用負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 逢坂芳雄)

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